エアコンは嫌いです

都内某大学に通う文系大学生のメモ。

コインランドリー

1人暮らしを始めて1年とすこし。未だにコインランドリーを利用したことはないのだが、今日の夜こそはお世話にならざるをえない。今日も雨だ、と言い続け洗濯物は溜まりに溜まって、もう着るものがない。唯一晴れたこの土日には実家にいたため洗濯できなかった。着られる服も底をついた。

実家暮らしのときはもちろんコインランドリーなんて使ったことがないし、そもそも地元になくて、どんなものなんだかわからない。何があるのか、どうやって使うのか、いくらくらいかかるのか、どれくらい時間がかかるのか、その間は何をしていたらいいのか。情けない話だが、まだ見ぬコインランドリーにビビっている。

今日は家庭教師のアルバイトをした帰りで、靴擦れがひどくのろのろとしか歩けなかったため、そもそも自宅に着いたのが午後10時半くらいであった。

下着以外の洋服すべてをスーツケースに詰めこみ、最寄りのコインランドリーに向かう。最寄りと言っても、なぜかこの街はコインランドリーがとても少なく、歩いて10分ほどかかる。コインランドリーに着いた時刻は午後11時。30分後に営業終了だが、自宅の洗濯機では15分程度で脱水まで終わるから、乾燥までギリギリ間に合うかな、と思っていた。

洗剤を持ってきていなくて、目の前のサンクスで買い、いざ洗濯。時刻は午後11時10分頃。お金を入れ、残り時間が表示された。35分。確実に営業時刻を過ぎる。営業時間内に終わるようにお願いします、と貼り紙がしてあり、このままでは店主に迷惑をかけてしまう、乾燥もできない、と焦った。しかし洗濯が始まってしまった今、待つことしかできない。

しばらくすると、若い男性が来た。彼も確実に営業時刻を過ぎる。常連と判断し、その彼が時間オーバーしてしまうならさぞかしゆるい店主なのだろうと安心した。

11時40分頃だろうか。30分を過ぎても店主が来ないため、まあ乾燥も許してくれるだろうと安心していたころ、店主がやってきた。おじいさんだった。わたしと彼はこっぴどく叱られた。しかし優しいおじいさんで、あと15分は待ってくれるという。ただし乾燥は禁止。半分助かった。ほっとしていると不意に話しかけられた。聞けば、彼はつい昨日この辺りに越してきたらしい。転職のためと言っていた。お互いこの店は初めての利用で、そりゃあわかりませんわな、ははは、と、気持ちが楽になった。彼とは様々な世間話をした。15分後、お互いの洗濯が終わり、店主が来た。優しかった。気をつけて帰ってね、と声をかけられたため、うれしくて、ありがとうございます、と言った。

日付も変わる頃であったため、彼が途中まで送ってくれた。分かれ道、気をつけてね、とさよならした。

彼と二度と会うことはないだろうけれど、あの場に彼がいてくれてよかった。ひとりでなくてよかった。それに、フランクに話しかけてくれてほっとした。送ってくれてありがたかった。この場を借りて、お礼をしておく。

無事に家に着きました。明日の午後9時まで雨は降らないそうなので、外に干しました。部屋干しの洗剤を買います。機会があれば、またどこかで。

初めてのコインランドリーは波乱万丈だった。しかし、素敵な出会いもあった。深夜、それぞれの生活事情を持った人々が集まる場、悪くない。今度は時間に余裕があるときに、乾燥まで利用してみようと思う。もちろん洗剤は忘れずに。