エアコンは嫌いです

都内某大学に通う文系大学生のメモ。

詩 わたしだけ

あなたが愛おしそうにわたしを見るたび

何人の女にその顔を見せてきて

何人の女がその顔を見たんだと

どす黒くて重たい塊が喉の奥を詰まらせる

 

あなたがわたしに愛を囁くたび

何人の女に何度そう言って

何人の女が何度それを聞いたのだと

 

あなたがわたしの手を握るたび

あなたがわたしを抱き寄せるたび

あなたがわたしにキスするたび

あなたがわたしの中に入ってくるたび

何人の女にそうしてきて

何人の女がそうされてきたのだと

 

いま

あなたが愛しているのがわたしなら

あなたの愛を一身に受けているのがわたしなら

そんなことはどうでもいいはずなのに

 

わたしの知らないあなたを知ってて

わたしが知っているあなたを知ってる女がいる

なんて、許せるわけないじゃない

 


返してよ

わたしだけの彼を返して

わたしだけの彼をわたしだけの彼にしてよ

真っ直ぐな眼差しも

下手くそだって言う笑顔も

柔らかくてふわふわな唇も

骨ばった大きな手も

わたしの中でどくんどくん脈打つペニスも

低く響く声で発する「愛してるよ」も

全部わたしだけのものなのに

 


あなたの脳に刻印されたそいつらは

どこの誰でどんな顔でどんな体型でどんな髪型で

どんな性格でどんな服を着てどんな匂いがして

どんな顔で笑ってどんな顔で泣いてどんな時に怒って

どんなところが好きだったのか

全部教えて忘れてよ

 


今までの女たちは本気で好きじゃなかったとか

そんな言葉はいらないの

 

どんな女より

わたしが誰よりかわいくて

わたしが誰よりおもしろくて

わたしが誰より頭が良くて

わたしが誰よりいい匂いで

わたしが誰よりエッチで

わたしが誰より大好きで

わたしを誰より愛してるって

 

言ってよ お願い