エアコンは嫌いです

都内某大学に通う文系大学生のメモ。

詩 不用品

ママはわたしを捨てました

わたしは言うことを聞かないから

わたしはいらない子だそうです

 

パパはわたしを捨てました

わたしは顔も身体も醜いから

わたしはいらない子だそうです

 

先生はわたしを捨てました

わたしはあたまがわるいから

わたしはいらない子だそうです

 

おともだちはわたしを捨てました

わたしはおもしろくないから

わたしはいらない子だそうです

 

彼らはわたしを捨てました

わたしは穴のくせにわがままだから

わたしはいらない子だそうです

 

わたしはわたしを捨てました

わたしは言うことを聞かなくて顔も身体も醜くて

あたまがわるくておもしろくなくて

穴のくせにわがままだから

わたしはいらない子なんです

 

わたしはいらない子なんです

 

 

 

 

 

きみはわたしのおうじさま

ごみばこの中で死ぬのを待っていたわたしを

きみは拾ってくれました

 

きみはわたしのおうじさま

腐った精液がこびりついたわたしを

きみの飲みかけのいちごみるくに浸して

あまくてまっしろなおんなのこにしてくれました

 

きみはわたしのおうじさま

わたしの網膜に貼り付いた灰色のレンズを引っぺがして

ほんとうの世界の色を見せてくれました

 

きみはわたしのおうじさま

誰も教えてくれなかったこと

息の仕方、歩き方、話し方、愛し方、

みんなきみが教えてくれました

 

きみはわたしのおうじさま

ポルシェもロレックスも持ってないし

ルブタンのピンヒールもエルメスバーキンも買ってくれないけど

わたしがずっとずっといちばん欲しかったものをくれました

 

きみがくれたものときみを

抱きしめて離さないように

わたしはきみにわたしをあげました

きみの隣で、なら

もうすこし生きていてもいい気がするんです