エアコンは嫌いです

都内某大学に通う文系大学生のメモ。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」が最高すぎたのでネタバレしない程度にごり押しします、全地球人観に行って今すぐ

11月9日に日本で公開されてから爆発的大ヒットと話題らしい映画『ボヘミアン・ラプソディ』をようやく観に行ってきた。

1970~80年代を駆け抜けた伝説的ロックバンドQueenと、そのボーカルでエンターテイメントのカリスマと呼ばれたフレディ・マーキュリーの伝記映画だ。

テレビは見ないしSNSも最近覗いていなかったので世間の評判には疎く、アルバイト先のカラオケボックスで毎日予告編が流れていてなんとなく気になっていた。

そもそもわたしとQueenの出会いというのは、厳密には生まれた頃からかもしれない。物心ついたときから、テレビでしばしば流れていたような気がする。挿入歌として、CMとして、自然とQueenの著名な曲は耳に入っていたのだろう。

決定的な出会いは3年ほど前、『スーサイド・スクワット』という映画の劇中歌として[Bohemian Rhapsody]が使用されていたこと。

スーパーウルトラ犯罪者軍団が、警察では処理しきれないとんでもない巨悪に立ち向かう話なのだが、罪人として裁かれ社会から追放された彼らが社会を救うためにとんでもない悪者に向かっていこうとするシーンで[Bohemian Rhapsody]が冒頭から流れた。

「Is this the real life? Is this just fantasy?」という歌詞がシーンにぴったりきすぎていて、どことなく哀愁に満ちたメロディーが頭から離れなくて、誰の曲なのかには気にも留めず1ヶ月ほどずっと聴いていた。Queenとわたしはそれくらいの、年相応な浅い付き合いだった。

  映画のタイトルとなった[Bohemian Rhapsody]は、ロックにオペラやバラードやアカペラをぶち込んでごった煮にしたような曲調で、Queenの曲には珍しくタイトルが歌詞に出てこない。1曲の長さもだいたい3分、長くて4分が主流だった時代に約2倍の6分、その上サビがないという当時のイレギュラーをフルコンプしたような曲。そんなのが彼らが今までリリースした曲の中で1番売れている曲らしい。

   そしてQueenといえば、フレディ・マーキュリーのあの風貌。角刈りに髭、全身タイツやタンクトップを身に纏い、逞しい胸毛がぼうぼうと生えて…モノマネ芸人の格好のネタになっている。これは彼の数あるスタイルの1つでしかないわけなんだけど。

  ヒット曲は先ほどの曲に留まらず、ドンドンパン!というリズムで足を踏み鳴らし手を叩く[We will rock you]や、スポーツ番組でやたら使われる[We are the champion]、モノマネ芸人がやりがちな[I was born to love you]など、Queen世代でなくとも聴いたことがあるほど世に浸透していて、同世代でもこの辺はだいたいみんな知っている。

   ボーカルのフレディに対して、「よくわかんないけど割と若くして亡くなったゲイの人」というぼんやりしたイメージを抱いている方が多いだろうし、わたしもその1人だった。その中でも、「同性愛者や、彼が感染し死因となったAIDSに対する偏見が今と比べ物にならないくらい激しい時代を彼は生きていた」ということを知っている人は、多くない気がする。

   この映画『ボヘミアン・ラプソディ』はそうした時代背景、曲作り、フレディをはじめとするメンバーやその周囲にいた人たちの人柄、Queen活動当時の彼らのパフォーマンスや観客の反応など、彼らを取り囲んでいた全てに少しだけ触れたような気持ちになれる映像作品だ。

当時の映像がふんだんに盛り込まれていて、歌声もフレディのものを使用しているそうだ。その時代の格差や口パク感を感じさせないほど、役者さんたちの演技がうますぎる!映画を見た後に当時のインタビュー映像などを見尽くしたが、今思っても当の本人たちがそこにいるような演技だった。とくにギターのブライアン・メイは本人と見間違うくらい!フレディ役の方も、フレディ本人の目の奥に悲しみや孤独、得体の知れないものがゆらめいているところが特にそっくりだった。

   とにかく自分がこんな時代に生まれたことを後悔するような映画だった。この映画のクライマックスで再現されている、20世紀最大のチャリティコンサートであるLive AIDでのQueenのとんでもないパフォーマンスももちろん、他の出演者の面々といったら!デヴィッド・ボウイThe WhoU2レッド・ツェッペリンボブ・ディランまで、「伝説」がそこにいた、しかもうじゃうじゃ。なんで30年早く生まれなかったんだろう!

今はロックじゃなくてポップスの時代で、テイラースウィフトやケイティ・ペリージャスティン・ビーバーががんばっているけれど、正直今活躍している彼らが束になってもかなわないような気がする。

   まだ観ていないのなら、ぜひ、劇場のスクリーンサイズと音響で観てほしい。わたしは200円課金してドルビーアトモスという立体音響とワイドスクリーンで観た。11月22日までしかやっていなかったからその日の朝に観に行ってギリギリ滑り込み。

   史実とちょっと違う、というか映画として成り立たせるために改変している部分もあるが、まあエンターテイメント映画なのでそれは置いておいて、とにかくQueenが大好きになるし、人を大切にすることの暖かさがなんとなく伝わる映画なんじゃないかな、と思う。

   ぜひ!劇場で!ご覧ください!(20世紀フォックスの回し者じゃないですよ)